本の販促: この記事では、無料・割引キャンペーンで電子書籍の売上を増やす販売促進の考え方とその方法について解説します。
本の販促: 本の無料・割引キャンペーンとは?
紙の本では定価が常識です。街の書店では当然として、そしてAmazonなどのオンライン書店でも値引きされることはありません。
そんな中、最近、無料や割引価格で本が売られています。AmazonのKindleストア、楽天Koboなど、オンライン書店で売られる電子書籍では、紙の本が定価でも電子版は同時に割引価格が一般的になってきました。
特にマンガでは無料で試し読みが人気です。スマホで簡単に読めると若者を始め多くの人が電車や待合室で「立ち読み」しています。
シリーズの一部の無料にしてまずは一冊読んでもらい、著者の同じシリーズの他の本の売上につなげる方法が取られて大成功しているのです。
多くの個人作家がAmazonなどで出版した本は、毎月、何千冊と増えるリストに埋もれ、その存在を見つけてもらうことも、「手に取ってもらう」ことさえありません。
普通、本屋さんで購入される書籍は、まずは「棚から手にとって」パラパラと開いて読み、内容を確かめてから買いますよね。
無料や割引キャンペーンは、この「立ち読み」と同じように「試し読み」に相当すると考えると納得がいきます。
あなたの本は「立ち読み」されていますか?
本を無料・割引キャンペーンで売れば売上は増えるのか
では、実際に無料や割引キャンペーンをすれば、売上は増えるのでしょうか。
以前、電子書籍の窓では個人作家の「瀬海歩」さんと無料キャンペーンの前後で売上がどのように変わるか調べました。
その結果をまとめたのが「Kindleキャンペーン: 個人の著者が売上を6.1倍に伸ばす方法」です。
そこでは、実際に1日あたりの売上が前月のそれと比べ6.1倍に増えました。そしてその後、彼の作品はAmazonのキャンペーンに取り上げてもらうまでになりました。
Amazonや出版社に注目してもらう方法としても、積極的な無利用・割引キャンペーンの展開は有効といえます。
では、一体どのようにしたら一番大きな効果を無料や割引キャンペーンから引き出すことができるでしょう。
個人作家にとって、この数少ない販売促進の手段を最大限に活かす方法とは?
この後から説明していきます。
電子書籍の販促: 無料・割引キャンペーンを最大限に活用する
電子書籍の販促は、著者や出版社にとってこれまでの紙の本とは全く違った戦略とアプローチを必要とします。
これまで、紙の本では価格は変動しないのが常識でした。しかし電子書籍の登場で、デジタル化した書籍は印刷や輸送・保管といった紙の本特有のコストが不要となりました。
著者や出版社は自由に価格を変更し、キャンペーンなどを開催して販売促進に利用できるのです。
また、これまでの紙の本の販売促進には、新聞や雑誌の広告、電車の中吊り広告などが一般的で、これには非常に高額な費用が必要でした。
これに対して電子書籍では、デジタルである特徴を活かし、最近では広く行き渡ってきたソーシャルメディアやウェブ広告などと連携して無料と割引キャンペーンを開催することで、すぐに販売促進を行うことができます。
一方で、本の価格を変えること、特に無料にすることに抵抗感を覚える著者が少なくありません。
これまで本の価格は定価が常識でした。このため販売目的で一時的に価格を変えてしまえば、読者の信頼や本の価値自体を失いかねないと感じるからです。
多くの出版社や著者がすでに無料や割引キャンペーンを利用するようになり、特にマンガでは無料キャンペーンが数多く開催され、ここ数年販売額が急増しています。
これまで絶版となった本が紙の本よりも低い価格で電子書籍として戻ってきたり、お試し本や新規シリーズの導入部分などで使われたり、全く新しい展開が始まっています。
読者側でも、「まずは手元のスマホで試し読みして、気に入ったらその場で買いたいな」と考える人が増えています。
本を出版したまま何もしなければ、1年に約7万冊ともいわれる本が新規出版される中、オンライン書店のデータベースに埋もれてしまうのは目に見えています。
電子出版の時代では、著者や出版社が自らデジタル時代の販売促進を積極的に仕掛けていく必要があるといえます。
無料や割引キャンペーンを行うことのメリット
無料や割引キャンペーンは、著者がすぐに追加の販促費用無しで始められ、やり方次第では、大きな効果が期待できます。
無料や割引キャンペーンを使うメリットは、次のような点が挙げられます。
- 無料やおためし価格を設定することで、多くの人に本を知ってもらう、手にして読んでもらうことができる
- 最初の一冊を知って読んでもらうことで、シリーズの続編や他の著作に波及効果となる
- 読者リスト化の仕組みを導入すれば、いつでも後から告知できる読者の固定リストを増やすことができる。また愛読者ファンとなってもらうことができる。
- AmazonやKoboなどのサイトに読者レビューを増やすことができる
- 結果的に、長期的な売上増につながる流れを作ることができる
効果的な無料・割引キャンペーンをするには
では具体的に、どのようにしたら無料や割引キャンペーンをうまく活用できるのでしょう?
単に本を無料や割引にしただけでは、大きな売上に結びつくとはいえません。
無料や割引キャンペーンから最大の効果を発揮するには、以下の3つの要素をうまく利用してすすめることが大切です。
- 予めの準備
- ローンチ方式
- 期間
ここでは、これを5つのステップで進める方法について解説します。
無料や割引キャンペーンを成功させるシンプルな5つのステップ
1. キャンペーンの目標設定
どんな仕事であれ、プロジェクトであれ、目標設定は重要です。単に価格を散発的に無料や割引にしたからと言っても、効果は限定的です。
まずは、キャンペーンの特徴を理解し、そこから何につなげるかを考えることが必要です。
特徴を理解する
- 期間限定である
- 一時的な無料ダウンロードや販売数の増加
- 一時的に上位表示される
- 期間終了後に反動がある
- Amazonの商品ページにはキャンペーンを告知できない
では、この前提で目標とすればよいのでしょう?
例として、以下のような目標設定が考えられます。
無料の場合:
- 無料ランキングでの上位表示
- 期間終了後の売上増加
- 他のシリーズへの波及効果での売上増加
- 読者レビューの増加
- 固定ファンの獲得
割引きの場合
- 有料ランキングの上位表示
- 期間中の販売数と売上増加
- 読者レビューの増加
- 固定ファンの獲得
では、キャンペーン期間はどうしたら良いでしょう?
AmazonのKDP Selectの場合、90日間に最大で5日間となっています。効果を最大化するには、一度に5日間のキャンペーン期間を設定したほうが効果は大きくなります。
これに対して割引キャンペーンに期間の制約はありません。数日間から1ヶ月程度の例があります。
数日間の場合では、あらかじめ告知などで効果を短期集中させる必要があります。一ヶ月間では期間の限定感が薄れるため、効果が低くなる傾向があります。
Amazonや出版社のキャンペーンでは1週間から2週間程度が多いようです。
2. オンライン書店のキャンペーン設定
電子書籍では、比較的簡単に本の価格を変更することができます。無料や割引価格キャンペーン期間に合わせて、価格の変更を設定します。
Amazonの場合、KDPの管理画面から設定します。KDP Selectの無料キャンペーンは予め予約登録できます。Amazonの米国本社があるワシントン州シアトルの米国太平洋時間の午前0時から開始となります。
これは、日本時間では翌日午後4時時または米国が夏時間の場合は午後5時からのスタートとなり、終了も同じく翌日の午後4時または夏時間の場合は午後5時です。
割引キャンペーンは、登録の修正後にAmazonの審査を受けてからサイトに反映されます。通常は数時間から1日以内程度で反映されます。
Amazonの場合、本の商品ページにキャンペーンの期間や価格などの表示をすることはできません。
3. メディアやリストを通しての紹介と拡散
ここまでで説明したように、単に無料や割引価格にしただけでは効果は限定的です。
本を買ってくれそうな人に告知をしなければなりません。
これには、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディア、自分の著者ブログ、読書関連サイトでの寄稿やレビュー記事、紹介記事などを依頼する等が挙げられます。
特に、「本の棚」では電子書籍の無料や割引キャンペーンに関心を持つ数千人の読者登録したリストに配信してくれます。サイトでの紹介や数千人規模の愛読者リストにメール配信で告知できるため非常に効果的です。
こちらから「無料・割引価格キャンペーンの登録」できます。また、キャンペーンの効果を最大化するためのチェックリストは、下のボタンをクリックしてダウンロードできます。
4. キャンペーンをローンチ方式で告知する
無料や割引キャンペーンの最大の特徴は「期間限定」であることです。
期間が限定されていることで、終了後には同じ価格で手に入らないという希少性を利用して読者の購入の行動を強く呼び起こすできます。
これには、いわゆる「ローンチ方式」で時系列で行動を促すことで最大の効果を発揮できます。
5日間の無料キャンペーンを例にとって説明します。
- 数日から1週間前にSNSや著者ブログ、読書関連ブログ、メール配信などで予告する
- 当日にキャンペーン開始のお知らせを告知
- 期間中に質問に答える、特徴やメリットを愛読者リストへのメール配信、SNSや読者レビュー記事など、様々なメディアでフォローする
- 期間終了直前(当日朝、終了数時間前など)に無料や割引価格の特典が終わることを告知する
ここで大事なことは、何回も繰り返してリマインドすることです。開始当日1回だけで後は何もしないというのでは、効果はあまりありません。
しかし一方で、何度も告知することへの抵抗感がある著者が少なくありません。
Amazonや楽天がタイムセールを行う際に何度もメールやサイトでの告知を行っていることを思い出してください。
読者にとって期間限定キャンペーンに対する抵抗感は低くなっています。
また、自分のファンとなった読者からみれば、一度の告知は見逃してしまうかもしれません。気づいていても、出先で忙しかったりして行動できないで、後にしようと思っているかもしれません。
逆に、後から知らせなかったことで、オトクな情報を見逃してしまいます。読者にとっても価値ある情報です。ここはしっかりと行動を促してあげてください。きっと喜ばれます。
5. 分析と次のローンチへ向けて準備を開始
キャンペーンの開催期間中と直後では、キャンペーンがどう進行しているかKDPの管理画面などから必ず確認するようにします。
何がうまく行ったか、うまく行かなかったか、キャンペーンの効果を分析していきます。
FacebookやTwitterなどでは配信直後に大きな反応があります。これに対してメール配信では配信直後から2日程度は効果が継続することになります。
管理画面で販売数やダウンロード数だけではなく、読者レビューの数もモニターしていきます。また、シリーズの続編や他の本への波及効果も見ていきます。
さらに、キャンペーン終了後しばらく効果を見ていきます。キャンペーンの効果が収束したところで、今回のキャンペーンの何が良かったか、次回から何を修正するかを分析してください。
いかがだったでしょう。
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