Kindleマーケティング 7つの誤解 つい最近始まったアマゾンのKindle Direct Publishing(KDP)で沢山の個人の著者が生まれました。せっかく苦労してアマゾンで本を出版した。でも、全く売れない。そんな経験をしていませんか?これにはわけがあったのです。この記事では、その7つの誤解を明らかにしていきます。
アマゾンのKindle出版がもらたしたチャンスと苦悩
2012年にアマゾンが日本でKindleを開始して、誰でもが個人の著者として本を出版できるようになりました。その後、続々と個人が出版したKindle本が登場しています。
しかし、そのほとんどは全くと言っていいほど売れていないのが現状です。今回は、Kindleマーケティング7つの誤解:個人著者の本が売れない本当の理由と題して、キンドル出版した本が売れない7つの理由について探ります。
Kindle出版をする個人著者にとって、アマゾンで自分が書いた本が出版されることはとても大きな喜びです。しかし、せっかく長い時間を掛けて執筆した苦労作がほとんど売れないのは大きな落胆となってしまいます。アマゾンで本をたくさん売ってベストセラー作家になるには、いったいどうしたら良いのでしょうか?
実際に自分自身でKindle出版して、カテゴリーランキング1位を2つの部門で達成し、アマゾン全体の有料ランキングで19位まで、ブログ無し、一切の広告なし、お金も全くかけずに達成しました。
また、自分がチーフエディターを努め、何百冊という電子書籍をレビューしてきた経験から、多くの人がKindleで本を売ることについて大きな誤解があることが分かってきました。
今回は、その誤解とその裏側を次の7つの視点から解説します。
大手出版社のように、大きな予算とコネがなければアマゾンで本は売れない。
Kindleで出版する多くの個人作家は、自分の本が売れないのは大手出版社のように、大きな予算とコネがないからだと考えます。本当にそうでしょうか?
2014年のKindle売り上げランキングで上位を独占したKADOKAWA(KADOKAWAが1位を独占、Amazonの2014年出版社別売り上げランキング)の場合を、アマゾンの有料ランキングの順位から見てみます。何故ならば、当然ながらKindle全体の有料ランキングは売上げを強く反映しているからです。
実際に、特定時点でのランキングはどうか見てみます。2015年4月27日のKindle本のカテゴリ/出版社のKADOKAWA/角川書店で人気度でリストの有料ランキングを調べてみると下の画像のような結果になりました。n/aとなっているのは、カテゴリーランキングだけでKindle全体の有料ランキングが掲載されていないためです。
御覧頂いてお分かり頂けるように、Kindleで売り上げトップの大手出版社でもランキング上位を占めているのは一部だけであることが分かります。それ以外は数百位から数千位といった本が多く並びます。
これは、上位を独占する大手以外にも、個人の著者でも販売数を伸ばすことが可能であることを意味します。これまで、Kindleで販売をする他に必要なマーケティングのノウハウは、まだKindleが開始して数年の日本では、ほとんど知られてきませんでした。
これに対して、2007年より個人の出版が一般化し、個人が本を販売するノウハウが蓄積したきたアメリカでは、Kindleマーケティングが進んでいます。その常識とは一体どのようなものか?そのいくつかをリストアップします。
- アマゾンは巨大な検索エンジンである。
GoogleやYouTubeと並び、Amazonは本来、巨大な検索エンジンとして機能しています。従って、そので本を売ろうとすれば、基本的なSEO対策が必要になってきます。
- カテゴリーとランキング
アマゾンで本を買ってもらうためには、ページを閲覧する読者の目に止まらければなりません。検索結果以外で表示されるためには、非常の詳細に分けられたカテゴリーのランキングで上位に入る必要があります。
ですから、このカテゴリーをどう選択するかで、表示されるかされないかが大きく変わります。Kindleでは、出版する本を登録する時に、2つまでカテゴリーを選択することができます。
ランキングには、カテゴリー以外にも、出版当初に表示される新着、人気度、有料・無料トップ100など、非常に影響力の高いランキングがあります。
- 無料や割引キャンペーン
最近、大手出版社が無料や割引キャンペーンを次々と展開しています。これまで再販価格維持制度に守られてきた業界が、マーケティングに目覚めたのです。(参考:「出版不況の終焉 出版6社トップが語る、電子書籍の成長で見えてきたもの」朝日新聞select)KADOKWAはこれをうまく利用して、Kindleの売り上げトップになったと報じられています。
個人の著者も無料キャンペーンをすることができます。(KDP Select)これは、特に複数の書籍リストを持っている場合には有効です。ただし、個人の著者が苦労して書いた自分の本を単純に無料にしても、必ず販売が伸びるとは限りません。Web上で(お金をかけずに)いかに拡散させるか、その戦略と準備がとても大切です。
- 商品ページ
Kindle本の販売ページです。マーケティングではランディングページ(LP)などと呼ばれ、ここの内容が本の売上に大きく影響します。しかし、出版社任せの本を見ると、たった数行だけの説明だったり本のデータベース情報を掲載するといった信じられないようなページが多く見受けられます。一体それだけで、どうして読者がわざわざ買って読みたいと思うでしょう?
Webマーケティングでは、LPは商品を販売する目的では最重要な要素の1つです。徹底的に考えつくされ、トコトンテストされます。素人が書いたような「がんばって書きました。買って下さい。」的なものだったり、目次やページ数など、あまり購買意欲に関係ない情報だけでは販売とは程遠いといえます。読者を意識したキーワード、ヘッダー、文章の構成、行動喚起など、コピーライティングが駆使される必要があります。もしこれが苦手であれば、スキルのある人に頼むべきです。
- おすすめ
これは、読者の閲覧と購入履歴から関連した商品をレコメンドしてくれるものです。「この商品を買った人は、この商品も見ています(買っています)」というふうに、上位ランキングに入るとおすすめにも入りやすくなります。ここでも、カテゴリーの選択が大きく影響します。
- メール配信
アマゾンは、メール配信でも販売をフォローしてくれます。これも、カテゴリーなどから関連した本が選ばれます。また、メール配信で取り上げられやすいイベントやタイミングがあります。
これらを、本の企画段階から戦略を練り、準備を勧めていくことで非常に大きな差がでます。もちろん、既に出版した本でも、十分なリカバリーが効く場合が少なくありません。
アマゾンは大手出版社を優遇しているから個人の著者は不利だ。だから売れない。
大手出版社が沢山の本を売っているのは事実です。これまで、紙の本の歴史を通して本を販売してきたノウハウや影響力は、個人には真似できないことです。コンクールを開催し、広告宣伝、プロモーションと取次と呼ばれる中間業者への影響力、取次は日本全国の書店に並ぶ本に非常に大きな影響力があります。
しかし、紙の本の販売はインターネットの出現以来、1996年から減り続けています。(音楽業界、出版業界、新聞業界で起こる地殻変動)そこに登場したのが、アマゾンのKindleです。年々縮小する出版業界にあって、電子書籍は急成長分野(2014年、日本国内で配信される電子書籍・電子雑誌は推計72万タイトル)として大手出版社がこぞって参加してきました。
この電子書籍市場は、全く新しいシロモノです。ここ数年、少なからずの電子書籍オンラインショップが誕生しましたが、その最大手はKindleで楽天Koboがこれに続きます。これまでの大手出版社であっても、この中で新しいルールで戦わなければなりません。
電子書籍の販売の方法論については、現在進行形で経験を積みつつあります。(ちなみに、KADOKAWAがKindleの販売ランキング1位を達成したのは、無料キャンペーンが大きな要因だったと推測する業界関係者が多くいます。)
アマゾンは沢山の本を売りたいと考えています。アマゾンは、売れる本はもっと売ろうとします。売れない本は、どんどんとサイトに表示されないようになっていきます。(これ自体は、日本全国に有る書店で平積みされるか、返品されるかと同じです。)
これに対してアマゾンでは、書店で平積みしてもらうように、Kindle書店内で上位表示やサムネイルで多くの場所に表示してもらうように自分で工夫することができます。Kindleランキングは一時間ごとにアップデートされます。自分が投入したマーケティングの工夫がすぐに反映され、その効果を見ることができるのです。本を売るルールが変わったのです。
拙著「Kindleで人生2度目の読書三昧:素晴らしい読書体験が手に入る!」はこの記事の執筆時点で224位です。もちろん、何万冊もの書籍を既に販売している大手出版社が優遇されるのは当然かもしれません。
しかし、個人の著者でも、書籍単位であれば大手出版社と対等に近い競争が可能になったのがKindleです。売れるか売れないか、その違いは、Kindleでどう売れる本が決まるか、そのルールを知りそれを実行できるかどうかに関わっています。
本を出せば何もしなくても売れる
本を出した後は「何もすることがない」と考えるのが普通かもしれません。特に出版社経由で紙の本を出してきた著者にとっては、ほぼ全部出版社任せです。本が売れるか売れないかは、出版社のブランド力やプロモーション、本がヒットするなにか特別なものがあったかどうか、コンクールで優勝したか、そんなところでしょうか。
同じように、Kindleで自己出版した著者のほとんどは、本を出した後は何もしません。「本の内容が面白ければ売れる、たまたまランキングが上位表示されたらトントン拍子でヒットする」そう考えている場合が少なくありません。
自分の場合は、アメリカのKindleマーケティングの基礎を徹底的に調べました。これには、アマゾンで売れる本の書き方、アマゾンとそれ以外での売り方、SNSやプログからのフォローの仕方等が含まれます。
この結果、アマゾンに本を登録した3日後にはランキング1位になりました。すると、本のサムネイル画像が表示される場所が増え、売上がドンドンと伸びていきました。
複数のジャンルの本を出したほうが良い
1つのジャンルで売れないと、次々と関係のないジャンルの本を書き始める著者がいます。無名な個人の著者にとって、1つのジャンルで売れていないのに、複数のジャンルに書く本の対象を広げていくのは非常にリスクが高いことです。
これは、自分の本を本当に読みたいニッチが特定されていないからです。自分のスタイルやストーリー、メッセージに共感して熱狂的なファンになってもらうには、ニッチを絞り込む必要があります。
一冊目を読んだ読者が、2冊目の全く違う分野の本を読んで共感を増すでしょうか?一冊目で熱狂的に共感した読者は、2冊目、3冊目と同じような本を読みたくなるのが普通です。
逆に、全く違うジャンルに次々と移っていけば、読者から受けるレビューも悪くなる傾向があります。この点については次の誤解で説明します。
自分はまだ一冊目を書き終えたばかりですが、現在シリーズ本を執筆中で、この後の読者との繋がりを楽しみにしています。
アマゾンレビューで悪い評価を1つでももらったら、もうその本は売れない。
個人の著者にとって、アマゾンのレビューはとても大きな壁になっています。まず第一に、せっかく苦労して自分の思い入れの本を書いて出版しても、レビュー自体がドンドンと入ってくるとは限りません。長い間、レビュー無しで放置されている本が少なからずあります。
しかも、入ったレビューが必ずしも良いレビューとは限りません。良いレビューが入れば、ウキウキになって上々の気分でいるところに突然超批判的で心ないレビューが入ることもあります。
レビューを受けた著者は、自分自身が否定され心が踏みにじられたようにショックを感じます。モチベーションは失われ、中には二度と本を書かなくなる人さえいます。
実は、このレビューはアマゾンの販売の仕組みの中でとても重要な役割を果たしています。レビューには必ず1から5までの星の数が付き、その平均値がレビューの欄の一番最初に表示されています。この平均値、そして良い数と悪い星の数の関係が自動的に計算されて人気度やランキングの上位表示に反映されます。
つまり、予め良いレビューが入るような内容の本を書くこと、そして、できだけ早いタイミングで良いレビューをたくさん集められるかどうかがとても重要になってきます。これがうまく進められれば、悪い評価が入ったとしても大きなインパクトを被ることなく販売を強化していくことができます。
アマゾンのレビューの一番大きな特徴は、アマゾンで売る他のものと同じように、本を商品として評価される点です。梱包や配送は電子書籍はデジタル配信ですから関係ありませんが、「その金額を払う価値があったかどうか」という視点が強く出ます。また、本を売るため、逆に本の販売を妨害するためのレビューも見受けられます。
私の場合、最初の3日でカテゴリーランキング1位。これで、カテゴリーページで常に表示されました。これで新着情報ランキングを急上昇し、この間に5つ星のレビューを3つ獲得できした。しかし、なんと4つ目のレビューが星1つ。これで一気にランキングを転げ落ちることになります。初めての出版だったので、こんな経験も初めてで落胆することしきりです。
でもその後、それに反論する星5つの応援レビューが入って、ランキングがまた上昇していきました。まるでジェットコースターのようでした。これは、ものすごく貴重な経験でした。
どのように良いレビューを得られるように準備をするか、そして、それを継続して高めていくかは、Kindleマーケティングの非常に重要な戦略の1つです。
売れるか売れないかは、アマゾンと運次第だ。Kindleマーケティングは関係ない
こう考える人は、何かわからないことがアマゾンの中で起こっていて、自分では何もできないと考えています。ほとんどの著者はKindleマーケティングを知りません。でも、アマゾン自体はキンドル事業を成功させたと強く考えています。Kindleストアはあなたの本を売りたいのです。
これはアマゾンのサイトにも現れています。アマゾンのオンラインショップを開き左のカテゴリーボタンをクリックすると、メニューリストの一番上にKindleカテゴリーが表示されます。これに対して、既にKindle事業が軌道に乗っているアメリカのサイトでは中段に表示されています。Kindleを開始して間もない日本アマゾンの戦略が強くうかがえます。
しかし、何もしないで突然本が売れ出すことはありません。アマゾンがKindle本を売る手法を知り、それを最大活用するのが一番の近道なのです。単純に本を売りだしただけで、アマゾンが大々的にプロモーションをしてくれてベストセラーになるわけがないのです。
このKindleマーケティングですが、大手出版社も含めて、ほとんどの人がまだ知りません。ですから、今から始めれば大きな成果に結びつく可能性が高いと言えます。アマゾンで本が売れるには、一定の法則があります。それを実直に実行して、その効果を分析しながら改善していくのが最短の近道なのです。
拙著の場合は、販売開始後の3日でカテゴリーランキング1位を達成しました。翌月にはKindle全体の有料ランキング19位、その翌月の無料キャンペーンではKindle全体の1位という成果を出しました。
初めて本を出し、お金もかけず読者もない状態からランキングのベストセラーとなったのです。これは決して運ではありません。結果は、Kindleマーケティングの準備と行動で出すことができるのです。
自分のブログと読者がいなければアマゾンで本は売れない。
一部のコンサルタントは、本を出す前に自分のブログで自分自身をブランディング化しなければいけないとアドバイスしています。しかし、そのような人の本は余り売れていないですし、本の評価もいまいちというのが実感です。SEOやマーケティングの専門家のKindle本も同じようです。
なぜか、本となると出版社におまかせで、自分ができることはないと考えているからです。自分のブログでも出版時やセミナーで紹介するが、特に売るためのマーケティングがありません。これは不思議なことです。
もちろん、毎月のPVが100万以上のブログで宣伝すれば、販売強化につながるのは当然です。しかし、ベストセラーになったという話は余り聞きません。プロブロガーと呼ばれる人たちは、既にあきらめムードになってる感さえあります。
自分の場合は、ブログと本の同時進行しました。しかし途中で本の執筆に専念し、ブログは後から本格的に立ち上げる体制に入りました。ブログに関係なく、本の売上はアマゾンの中で展開していきました。
もちろん、ブログの存在を否定しているわけではありません。Kindleマーケティングではブログは非常に重要です。ここで強調したいのは、Kindleで本を売るためのKindleマーケティングをしっかりとすれば、ブログがない個人の著者でもアマゾンが本を売る仕組みを上手く利用することができるという点です。
同時に、ブログとソーシャルネットワークでで本の販売を強化する戦略は非常に重要です。今後、Kindleマーケティングを習得した達人が個人の著者からどんどんと登場してくるでしょう。
おわりに
2012年に日本でKindleが始まってから日が浅いため、まだまだ誤解と試行錯誤に満ち溢れています。日本での経験はまだ始まったばかりです。
今後、海外の成功事例も含めて、日本で実践し成果に結びつくノウハウを厳選していきたいと思います。なぜならば、Kindleマーケティングを理解して実行したものが、個人か大手出版社に関わらず大きな結果を出して行くからです。ですから、たとえ個人でお金をかけられなくても、アマゾンとコネがなくても、Kindleマーケティングを知っているかどうかは、まず第一に必要な前提条件です。
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